放射性物質の測定実験
(1) 放射線測定器と方法:
@ ポケットガイガーカウンター・キット(秋月): ガイガー管(D3372、浜松フォトニクス)がステンレスで覆われているため α線はほとんど遮断され、高エネルギーのβ線(0.5MeV〜)とγ線のみを測定することができる。(X線では、加速電圧60kV以上) (* α線は紙1枚、β線は薄い鉄板1枚程度で止められる)
カウントは、キットのTTL出力からの信号を、手製のTTLカウンターにつなげて行なった。(* 残念ながら国産のGM管は現在製造中止品です)
A 雲母窓型 USBガイガーカウンター・キット(ストロベリーリナックス): ガイガー管(φ15×L40mm、米国・LND社製)の検出端が透過性の良い”雲母窓”(実質約φ10mm)になっているので、α線(4MeV〜)、β線(0.2MeV〜)、γ線(0.02MeV〜)を測定できる。このガイガー管は、約103 cps(=約60000cpm)までは、(カウンタの性能にもよるが)ほぼ直線的にカウントし、それ以上の領域では飽和する。 雲母窓は破損しやすいので取り扱い注意。
USB端子からパソコンへの入力は、自動的に cpm vs. time のグラフに処理されて出力する。(
→ (3)グラフ )
((参考) フィルムケースで作る超簡易型ガイガー管: http://www.ngk.co.jp/site/no18/content.htm )
(2) 放射性試料:
最近、放射性物質の規制が厳しくなっているためか、サンプルを入手するのに苦労した。
ウラン鉱石類に含まれる 238U(99.275%)、235U(0.72%)、234U(0.006%)はウラン系列で崩壊し、α線、β−線を放射すして、最終的には安定な鉛(206Pb)になる。
閃ウラン鉱(UO2)がウラニウムの主な原料であるが、燐灰ウラン鉱やウラノフェンなどは閃ウラン鉱が風化・分散したものである。尚、燐灰ウラン石やウラノフェンの一部、ツヤムン石などは、紫外線を当てると緑〜黄色の蛍光を発する。
マントルや点灯管に含まれる 232Th(100%)はトリウム系列で崩壊するが、この半減期が長いので主に α線を放射する。このα線は、空気分子の障害により数cmまでしか届かず、α線が届く範囲でガス・マントルの炎や点灯管の放電を安定化させる働きがある。(どちらも、トリウムが含まれていないものも販売されているので注意) そのためガラス管に入ったままの点灯管からは放射線を検出しない。
バックグラウンド(B.G.)は、主に2次宇宙線に起因する高エネルギーのγ線、および、周囲の物質に含まれるカリウムや微量の放射性炭素(14Cの半減期:5730年、ただし、14C/12C=1.2×10-12と非常に少ない)などによる。
カリウムは、40K(0.012%)が半減期1.277×109年の放射性で、β−線を放射して40Arになる。やや透過性の良いβ線なので、実験では、水酸化カリウム(KOH、試薬・500g入り)のポリビンの外から測定した。
(他の放射線源サンプルとして、ウランガラス、古い煙探知機、本格的なGM管用の放射線源(プラスチックに封入されたアメリシウムなど)、)
(3) 測定結果:
USBガイガーカウンター・キット(ストロベリーリナックス)による測定結果は、パソコンでグラフが作成されて、次のようである。ウラン鉱石類の値が意外と小さいのは、鉱石が分散され、試料の大きさも小さいからである。(cpm=カウント数/1分間)
@ 放射性鉱物:
A 放射性物質:
結果をまとめると、ポケットガイガーカウンター・キット(秋月)の測定値と合わせて、次のようだった。(単位: cpm)
GM管 | 試料からの距離 | 閃ウラン鉱 | 燐灰ウラン石 | ウラノフェン | マントル(薄いビニール膜) | 点灯管 | KOH | 木炭 | B.G. |
D3372(ポケットガイガー) | 接近(5〜10mm) | 530 | 57 | 1〜2 | 1〜2 | ||||
試料から3cm | 240 | 47 | |||||||
雲母窓(USBガイガー) | 接近(5〜10mm) | 2400 | 160 | 400 | 260 | 230 | 33 | 15 | 15 |
試料から3cm | 1500 | 60 | 170 | 70 |
試料の相対的な置き方によってカウント数はかなり変わってしまうが、それでも全体的な傾向が現れている。雲母窓のUSBガイガーの方が、(GM管の体積差を考慮しても)α線、β線共減衰しないで多くカウントされていることがわかる。
カリウムは容器の外から測定したにもかかわらず、B.G.の倍も観測されたのは意外だった。また、木や木炭に含まれる14Cは含量が非常に少ないので、B.G.との有意差は見られなかった。(ポケットガイガーとUSBガイガーとのB.G.の差から、周りが”炭素”で満ちているのも原因) これを観測するには(地下1000mにあるスーパーカミオカンデまでは行かなくても)厚さ10cm位の分厚い鉛箱で厳重に覆って、大きな雲母窓GM管を束ねて実験しなければならないと思われる。
* 放射性元素による年代測定の 致命的問題点について:
カリウム−アルゴン法(40K → 40Ar、半減期 1.277×109年)、ウラン−鉛法(238U (→206Pb(最終生成物))、238Uの半減期 4.468×109 年)、ルビジウム−ストロンチウム法(87Rb → 87Sr、半減期 4.7 × 1010年) などのように、これらの天然に存在する放射性重元素の半減期はすべて数億年〜数十億年と非常に長く、たとえば、数千年〜数万年という年代を測定することは、時計の短針で秒を測るようなものであり、明らかに使用に適さない。
しかも、崩壊による鉛などの生成元素の初期の量を0として算出しているので、たとえば、ほんの百数十年前の火山噴火による溶岩の測定値は、数億〜数十億年というとんでもない値になってしまうのである。
ウラン−鉛法によって、最も古いといわれる地中深くにある先カンブリア層の花崗岩からの鉛の量から、地球の年齢は”45億年”という、全くでたらめな結果が出され、それが世の中に(特に、日本に)まかり通っているのである。実際のところ、それは残存ヘリウム量から、約6000年前としたほうが正しい。地殻が固まったのは、聖書の記述どおり、6000年前である。
(* 2003年12月のアメリカ地球物理学連合・秋期会議では、花崗岩に含まれるジルコンの、ウラン−鉛法による測定では15億年、しかし、同じジルコン中の残存ヘリウムの測定結果では、なんと、5680年±2000年という報告がなされた!)
また、地中深くの花崗岩に含まれる黒雲母中にしばしば見られる、ポロニウム(半減期は3分以内)による放射性ハローの存在は、(液体状態ではハローは1秒もするとその形が崩れてしまうので、)花崗岩が固まる時間が1秒以内であることを物語っている。また、固化しても、高温状態が持続していれば、ハローの模様は原子拡散して、すぐ消えてしまうはずである。
さらに、花崗岩の生成過程そのものが謎である。 花崗岩は、石英、長石、黒雲母の3成分がその基本組織であるが、元組成の融液の温度、圧力をどのように振っても、その3成分組織を作る平衡状態に持っていくことができない。因みに、花崗岩は、各組織の熱膨張率の違いから熱ショックに弱く、急激な温度変化により結合力を失い、ボロボロに崩れてしまう。あたかも、3種類の鉱物が”温度一定で”超自然的に押し固められたかのようである!
次に、炭素14法(14C → 14N、半減期 5730年)は、その半減期の適度な短さから、数百年〜数万年の年代測定に適している。 ただし、これは、2次宇宙線である中性子が降り注ぐ量が、全歴史の中で常に一定であったという条件のもとでの話である。
ここで、聖書の創世記にある「ノアの洪水」があったとすれば、洪水以前の地球の上空には分厚い「上の水」の層があり、降り注ぐ中性子の量は極端に少なかったことになる。(水蒸気層は光をよく通し、宇宙からの有害な放射線を止める働きがある。) また、「ノアの洪水」が本当にあったことは、地層学的なさまざまな証拠から推測される。
したがって、数万年の結果は、数千年(max6000年)に修正されなければならない。 聖書の記述の方が正しいのである。
→ (参考) 2) 地層などの年代決定 、 (1)炭素14法のノアの洪水による修正
● (参考) アルカリ金属の下のほう ・・・・・ 宇宙と地殻の元素の起源、 生物における主の主権(2010 6 10) ・・・・・ 生物体の素材の起源
聖書関連のDNA(2015 4 30) ・・・・・ C14法年代決定法の修正